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ビジネスシーンではこれを着ろ!ビジネスマンが選ぶべきワイシャツ4選

突然ですが、ワイシャツの襟型が全部で何種類あるかご存知ですか?
正解は……私にもわかりません!
襟型はどこまで細かく分類するかでその種類が変わってくるので、調べても調べてもはっきりした数はわかりませんでした。
オーダーシャツが作れるお店でも、襟型が30種類用意されていたり、50種類用意されていたりと、お店によって様々なようです。
ひとつひとつ襟型について触れていくのは大変なので、今回は「ビジネスマンが選ぶべき襟型」について一緒に学んでいきましょう!
 

1.ワイシャツの襟のつくり

まずは理解していただきやすくするためにも、ワイシャツの襟のつくりについて説明させていただきます。

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  • 襟羽……襟の全体部分
  • 襟羽開き……襟の開き角度
  • 襟羽長さ……襟羽の付け根から先までの長さ
  • 襟先(剣先)……襟の先の部分
  • 襟台……襟の立っている部分の高さ
「襟」とひとことに言っても、これだけの要素から構成されています。
ワイシャツの襟型は襟羽開きの角度や襟羽の長さ、装飾などのさまざまな要素を総合して分類されているのです。
簡単に襟のつくりについて理解していただいたところで、次は4種の襟型について詳しく説明していきます。
 

2.ネクタイあり?ノーネクタイ?ビジネスで代表的な襟型4選

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「襟」はまさにワイシャツにとって「要」となる部分です。どうしてもビジネススタイルではスーツをメインに考えてしまいますし、実際に毎日のコーディネートはまずは着るスーツを決めてから、という方も多いはずです。
しかし、見える面積は少ないですが、ワイシャツの襟は顔に一番近い部分です。襟型の種類によってその人の印象も変わってきます。それを踏まえた上で、ビジネススタイルにおすすめできる襟型4種の特徴をご紹介します。
 

<レギュラーカラー>

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もっとも一般的な襟型である「レギュラーカラー」
「レギュラーカラー」はその名の通り、ワイシャツの襟型の中でもっともスタンダードな襟型です。
襟羽の開きの角度は主に70~90度程度。襟の開きが狭いので堅実で真面目な印象を与えられます。
角度に幅があるのは流行によって、多少の動きがあるためです。
白無地のレギュラーカラーは大事なビジネスシーンや冠婚葬祭などに欠かせないワイシャツです。就職活動の時や新卒の頃はレギュラーカラーのワイシャツばかり着ていたという方も多いのではないでしょうか。
ジャケットやネクタイのデザインを選ぶことがなく合わせられるワイシャツなので、定番として持っておきたいワイシャツです。ネクタイの結び方はノーマルなプレーンノットが好相性です。ネクタイの結び目(ノット)が大きすぎると襟開きに収まらず不格好になってしまうので注意しましょう。
 

<ワイドカラー>

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「ワイドカラー」は襟羽の開きが100~140度の襟型です。
1920~40年代のファッションに多大な影響を与えたといわれる英国のウィンザー公。彼が好んで着用したことから「ウィンザーカラー」とも呼ばれます。
ウィンザー公はワイドカラーのワイシャツ以外にもダブルモンクストラップの靴やグレンチェックのスーツ、当時はタブーとされていたスウェードの靴をスーツに合わせるスタイルなど、他の人が思いつかないようなファッションをしていました。彼が生み出したスタイルが多くあることから、ウィンザー公のファッションでの功績はとても大きいとされています。
話が少し逸れてしまいましたが、ワイドカラーのワイシャツは襟の開きが大きいため、ネクタイの結び目(ノット)がよく見えます。そのため、結び目が大きくなるウィンザーノットなどの結び方がおすすめです。
ウィンザーノットもウィンザー公が好んで結んでいたことからこう呼ばれるようになったと言われています。
ビジネスシーンはもちろん、フォーマルさが求められる冠婚葬祭など、シーンを選ばず着用していただけます。
 

ボタンダウン

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ボタンダウンは襟羽の先にボタンホールがついており、身頃についたボタンを留める仕様のワイシャツを指します。
ボタンダウンの誕生はアメリカの紳士服ブランド「ブルックス・ブラザーズ」の創業者の孫にあたるジョン・ブルックスが1896年に英国でポロ競技を観戦したのがきっかけとされています。選手の着用しているシャツの襟先がプレイの邪魔にならないように留められているのをヒントに、1900年頃にブルックス・ブラザーズが「ポロ・カラー・シャツ」の販売を始めました。これがボタンダウンシャツのはじまりです。ボタンを「留める」という意味で「ダウン」という言葉が使われ、そのうち「ボタンダウン」と呼ばれるようになりました。
瞬く間にアメリカ国内の「アイビールック」を好む学生らの間で流行し、それがヨーロッパや日本でも流行しました。今やボタンダウンはワイシャツの中でも定番の襟型として扱われています。
しかしスポーツ競技をきっかけに生まれたワイシャツのため、やはりカジュアルな立ち位置となるボタンダウン取引先との商談や社内でも目上の存在の方との会議などのビジネスシーンでは、ボタンダウンにネクタイは避けるのが無難です。
ノーネクタイでのビジカジスタイルやクールビズで着用するのがおすすめです。
 

<カッタウェイ(ホリゾンタルカラー)>

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「カッタウェイ」は襟羽の開きが180度からそれ以上のワイシャツを指します。別名ホリゾンタルカラーとも呼びます。
カッタウェイとホリゾンタルカラーは「カッタウェイ=襟羽開きが180度以上のもの」、「ホリゾンタルカラー=襟羽開きが180度のもの」と区別している場合もありますが、当店では同じものとして扱っています。
カッタウェイシャツは元々フォーマルなスタイルから派生したワイシャツです。そのため、太幅のワイドネクタイで作る大きめの結び目(ノット)が一番バランスよく見えます。襟の開きの角度が大きいため、ビジネスシーンで主流のレギュラーネクタイではネクタイの結び目が小さく見えてどうしても不格好になってしまいます。
そのため、ビジネスシーンでカッタウェイシャツを着用する時はノーネクタイをおすすめしています。第1ボタンを外しても、襟が最初から大きく開いているため、だらしなくならず立体的なVゾーンを演出してくれます。すっきり爽やかに見せたいクールビズシーズンにおすすめです。
 

3.用途別での襟型の選び方

3-1.ビジネスではどう着る?

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「レギュラーカラー」「ワイドカラー」はタイドアップ(ネクタイあり)、「ボタンダウン」「カッタウェイ(ホリゾンタルカラー)」はノーネクタイをおすすめしています。
レギュラーカラーを選ぶのが間違いなく、基本中の基本です。
商談やプレゼンの場などでは、レギュラーカラーかワイドカラーを着用してネクタイを結ぶスタイルだと失敗しません。ネクタイの結び方はレギュラーカラーならプレーンノットで、ワイドカラーならセミウィンザーノットで結ぶのがおすすめです。
ノーネクタイのシーンと言えば、最近ではクールビズですね。クールビズではノーネクタイでもだらしなく見えない襟立ちのいいシャツを選ぶのが基本です。レギュラーカラーはタイドアップが基本スタイルのため、クールビズにはおすすめできません。第1ボタンを外しても襟がへたらないボタンダウンやカッタウェイをおすすめします。
 

3-2.体型別で合う襟型

最近お腹が出てきて気になる、やせているからスーツが似合わない、など体型に対するコンプレックスは人によって様々です。
スーツのVゾーンからほんの少ししか見えない襟、そのほんの少しでもその人の体型に合った襟型は存在します。合っていない襟型を選べば、コンプレックスを強調させてしまう原因にもなります。
自分の体型に合った襟型を選びましょう。
 
<ぽっちゃり体型>

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ぽっちゃり体型が気になる方は「ワイドカラー」と「ボタンダウン」をおすすめします。
襟羽の開きが小さいものだと体のボリュームが強調されてしまうため、タイドアップする時はできるだけ襟も大きめの「ワイドカラー」を選びましょう。
ノーネクタイの時は襟羽の長さが長めの「ボタンダウン」がおすすめです。襟羽の長さが長いことで第1ボタンを外した時に襟元にすきまができてすっきりと見せることができます。
どちらのシャツを選ぶ時も襟台の高さが高いものは避け、首が見えるものを選びましょう。
 
<やせ型>

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やせ型でスーツを着ても貧相に見えてしまうという方は「レギュラーカラー」と「ボタンダウン」がおすすめです。
この時に襟が大きめのものを選ぶと貧相さが目立ってしまうので、小さめの襟を選びましょう。合わせるネクタイも太幅のものだとネクタイだけが目立ってバランスが悪くなってしまうので、ナロータイ*1やレギュラータイ*2がおすすめです。
首の細さが気になる方は襟台にボタンが2つ並んだドゥエボットーニやボタンが3つ並んだトレボットーニを選ぶと首の細さがカバーできます。

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<がっちり型>

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学生時代にスポーツなどをやっていて、筋肉質ながっちり型の方には「ワイドカラー」「ボタンダウン」「カッタウェイ」がおすすめです。
ワイドカラーを選ぶときは襟羽開きの角度が大きめで、襟の大きさも大きいものを選ぶとバランスよく見えます。この時に襟台にボタンが2つ並んでいるドゥエボットーニを選ぶのは危険です。襟台の高さは首が見えるものを選びましょう。
ノーネクタイ時はボタンダウン、カッタウェイどちらもおすすめです。ボタンダウンを選ぶときは襟羽の長さが長めのものを選ぶといいでしょう。カッタウェイも首回りがすっきり見えておすすめです。
 

3-3.スーツ別で選ぶ襟型

スーツの種類というと、ブリティッシュ(英国)スタイルやイタリアスタイル、アメリカスタイルの3つが代表的です。細かい違いはたくさんありますが、大きな違いは以下のような点です。
  • ブリティッシュスタイル……ショルダー(肩)部分にパットがしっかり入っていてカッチリした印象。Vゾーンも浅く、ウエストシェイプ位置は高め。
  • イタリアスタイル……ショルダー部分は丸くなだらか。Vゾーンは深めでウエストシェイプ位置は低め。
  • アメリカスタイル……段返り3つボタンが主流。ショルダー部分は丸くなだらか。しぼりのないウエスト。
日本のスーツはメーカーやブランドによっても違いがあり、また日本人の体型や気候に合わせてシルエットなども変えられています。しかし、スーツの基本は英国調です。日本で販売されているスーツのシルエットはブリティッシュスタイルを踏襲したものが主流です。
カッチリとした印象になるブリティッシュスタイルのスーツには、ワイドカラーのシャツに、ネクタイを大きめの結び目で結ぶのが最適です。
イタリアスタイルのスーツはブリティッシュスタイルより少しラフな印象になります。合わせるシャツもカッタウェイなどの襟羽の開きが大きいタイプがよく合います。ネクタイを着用する時はタブカラー((左右の襟羽の裏に小さなつまみ紐がついたワイシャツ。ネクタイの結び目が立体的に持ち上がる仕様になっているやピンホールカラー((左右の襟先に開けた穴にピンを通したワイシャツ。タブカラーと同じく、ネクタイの結び目が立体的に持ち上がる仕様になっているなどの一癖ある襟型がおすすめです。
アメリカスタイルのスーツはシルエットがボックス(箱型、寸胴型)に近く、ブリティッシュスタイルやイタリアスタイルのスーツに比べるとカジュアルな雰囲気になります。そんなアメリカスタイルのスーツには、同じくアメリカ生まれのボタンダウンがおすすめです。アイビースタイルと呼ばれるアメリカントラッドなコーディネートにはぴったりです。
レギュラーカラーのワイシャツは定番な襟型なこともあり、スーツを選ばず着用できるオールマイティな襟型です。
 
今回のコラムでは「レギュラーカラー」「ワイドカラー」「ボタンダウン」「カッタウェイ」の4種の襟型についてご紹介しました。もちろん、世の中にはこの他にも多くの襟型がありますが、どこの紳士服店でも販売されているような代表的な4種を選びました。
今まで襟型についてなんて気にしていなかったという方も、ずっと同じ襟型ばかり選んでいたという方も、これを機にシーンやご自分のスタイルに合った襟型を選んでみませんか?

*1:剣先幅が6~7cmの細めのネクタイ

*2:剣先幅が7~8cmの一般的な太さのネクタイ